実は日本では少子化が進んでいるにも関わらず、「発達障害」を持つ子どもたちは増加しています。平成18年と平成25年の発達障害を持つ子どもたちの人数を比較してみると、約6倍となっています。
通級による指導実施状況調査
文部科学省
近年、「発達障害」という言葉を耳にすることが増えてきた気がします。
ですが、その障害的側面にばかり注目され、その特性についてはあまり理解されていないと思いませんか?
「あの家はいつも子どもが騒がしい。」「あの子は挨拶しても目も合わせない。」と間違った誤解をされ、悩まれているご家庭があると思います。
その悩みのタネの多くは、「大人たちの理解が無い。」ことが原因であるため、
本記事ではその特性の理解を手助けし、発達障害のお子さんがいるご家庭の悩みを軽くできればと思います!
発達障害の種類
- 自閉症スペクトラム
- 注意欠如・多動性症
- 学習障害
1.自閉症スペクトラム
自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害が含まれます。
典型的な特性としては、
- 対人関係を調整することの難しさ
- こだわりの強さ
- 感覚の偏り、運動の不器用さ
対人関係を調整することの難しさの特徴的なエピソード
- 視線が合わない。
- 指差しが無い。
- 親の後追いが無い。
- 誰にでも人懐っこい。
- 自分が話したいことだけ話す。
- 人の話を遮り話す。
- 表情や口調に抑揚がない。または相手の様子を汲み取れない。
ここの特性としては、他人への興味の薄さや双方向的なコミュニケーションが難しいことが特徴的です。
こういった特性がある子どもは「挨拶をしても目も合わせない。」のではなく、
そもそも人として認識できておらず、「何か音がした。」としか思っていないのかもしれません。正常な大人にとっての「車が隣を通った。」と一緒なのです。
車のエンジン音に「こんにちは。」と挨拶はしませんよね。
こだわりの強さの特徴的なエピソード
- ブロックを1列に並べる。それを崩すとかんしゃくを起こす。
- 特定の色や数字が好き。
- 手順や道順がいつも同じでないと怒る。
- 競争など勝敗がつく遊びで1番にならないとパニックになる。
- 一つの遊びに没頭する。
- 間違えると1からやり直さないと気が済まない。
- 物事の切り替えが難しい。
ここでの特性としては、自分ルールがあることや予期せぬ出来事への対応の難しさが特徴的です。
「融通が利かない。」と表現されることが多いですが、ルールに従順で正義感が強いと表現できます。その子のルールに則ってあげれば、素直に要求などを聞いてくれるでしょう。
感覚の偏り、運動の不器用さの特徴的なエピソード
- 電話の音に過敏で、電話がなると耳をふさぐ。
- ラメなどキラキラしたものを好む。
- タオルをずっと握る。
- 汚れることに敏感
- 狭いところが好き。
- 人にもたれかかる。
- よく転ける。
- ボタン掛けが苦手
人の感覚には視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、いわゆる5感が備わっているが、この特性がある子どもたちはその感覚の受け取り方にアンバランスさがあります。そのため、ちょっとした音や光に対して敏感に反応してしまうのです。
大げさに反応して注目を集めたいのではなく、本当に「うるさい」「眩しい」のです。室内でサングラスをかけたっていいじゃないですか。かっこいい!
2.注意欠如・多動症
典型的な症状としては、
- 不注意
- 多動性
- 衝動性
が挙げられます。
不注意の特徴的なエピソード
- よく体をどこかにぶつける。
- 忘れ物が多い。
- 期限が守れない。
- 大切なものを無くす。
- 順序立てた行動が苦手
- やり遂げられない。
ここでの特性として、周囲や物事への気づきの悪さが特徴的です。
この特性を持つ子どもは「ルールを守れない。」「サボりがちだ。」と誤解されることが多いです。
自ら順序立てることは苦手でも、順序や環境さえ整えてくれれば驚異的な結果を残すことも少なくありません。作業工程を目次化することや、作業スペースを個室にするなど、適切な支援をすることで十分な能力を発揮するでしょう!
視力が弱い子に「なんで見えないの!」とは言いませんよね。眼鏡を準備してあげますよね。それと同じです。
多動性の特徴的なエピソード
- じっと座っていられない。
- 椅子をグラグラと揺さぶる。
- 爪噛み
- 貧乏揺すり
- 話題が点々とする。
ここでの特性は、静止することが苦手なことが特徴的です。
とにかく好奇心旺盛
衝動性の特徴的なエピソード
- 高いところから飛び降りる。
- 物をよく壊す。
- 突然、道路を渡ろうとする。
- 時、場所、場面を無視した行動
- ちょっとした事で激怒する。
- 突然喋り出す。
ここでの特性は、危険管理の苦手さや状況把握の苦手さが特徴的です。
「なんでそんなに危ないことをするの!」と怒られることが多い子たちです。実際、道路に飛び出す行為などは命の危険性があること。
子ども用のハーネスをつけているお子さんもいますが、あれは我が子の命を守る手段であって、ましてや「虐待」ではありません。
温かく見守っていただければと思います。
3.学習障害
学習障害とは、知的発達に問題がない(IQは正常範囲内)にもかかわらず「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」ことが、限定的に極端に苦手である状態のことです。
学習障害は主に3つのタイプがあります。
- 読字障害(ディスレクシア)
- 書字表出障害(ディスグラフィア)
- 算数障害(ディスカリキュリア)
読字障害の特徴的なエピソード
- 音読の速度が遅い。一文字ずつ区切って読む逐次(ちくじ)読みをする
- 文字や行を読み飛ばしすることが多い
- 語尾や文末を読み間違えることが多い
- 「ろ」や「る」など形の似ている文字を見分けることが難しい
- 聴力は正常にもかかわらず、言われた言葉を聞き間違えることが多い
学習障害の中で一番多くみられ、「読む」ことが限定的に難しく、そのため「聞いて理解する。」ことは可能である例もあります。
書字表出障害の特徴的なエピソード
- 文字に興味を示さなかった。
- 書けない文字がある
- カタカナを習得するのが難しい
- 漢字をなかなか覚えられない。覚えても、忘れやすい
- 英語の読み書きが苦手
全く書字ができない訳ではなく、特定の文字のみ書けないということもあります。脳の障害による書字障害と区別するために「発達性ゲルストマン症候群」と呼ばれることもあります。
書字による表出が難しいだけで、言葉での表現力が高い子や、数字に強い子もいるため、できる部分を最大限に引き出してあげる支援も必要でしょう。
算数障害の特徴的なエピソード
- 数を数えるのが苦手
- 時計が読めない、時間がわからないことがある
- 算数の簡単な1桁の足し算や引き算の暗算ができない
- 繰り上がり、繰り下がりが理解できない
- 九九がなかなか覚えられない
- 図形の模写(視写)が困難・筆算はできるが暗算ができない。
数字と図形に対して難しさがあります。
4.まとめ
発達障害の主な特徴についてご理解頂けたでしょうか?
発達障害は様々な形で症状として現れるため、支援の方法も一人一人違ってきます。総じて言えることは「病気」ではなく、「個性的特徴」であることです。
その特徴を理解し、支援することで普通には出会えない発想や発見をし、大きな成果をあげることも珍しくありません。
発達障害はまだまだ解明されていない部分が多く、明確な「治療」方法は存在しませんが、その子が生きやすくなる「支援」方法はあるため、
今後はその支援方法について発信して行きますのでよろしければ引き続き本ブログに足を運んでいただければと思います。
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