発達障害の原因が何なのか知りたい方は多いのではないでしょうか?
今までその原因は親のしつけや、遺伝的であると言われてきました。
黒田洋一郎、木村ー黒田純子氏が書いている「発達障害の原因と発症メカニズム 脳神経科学からみた予防、治療、療育の可能性」という書籍ではまた別の原因を示されています。
この書籍を書かれている黒田 洋一郎、黒田 純子氏ともに東京大学にて博士号を取得している権威です。そのお二人が膨大な論文を参考にしまとめた書籍であるため、信憑性は高いと言えます。
この記事では自閉症スペクトラム発症の原因として、確立の高い一説を伝えられればと思います。
正直、身近なもの過ぎて主は驚きました。
今回紹介する説は予防が可能です。
最後まで読んでいただくことで、今現在、悩まれている方のみならず、今から生まれてくる子どもの健康を少しでも守れたらと思います。
発達障害は環境の影響が強い
結論から申し上げまして、その原因は一部の薬剤と農薬、金属です。
黒田氏はこの著書で自閉症スペクトラムを含む発達障害の原因として、遺伝的要因と環境要因があると述べられています。
遺伝的要因は今から対策を打とうにも不可能な部分が多いため、今回は対策が可能である環境要因についてお伝えしていきます。
本書で黒田氏は、発達障害は「遺伝病」ではなく、糖尿病や高血圧症などのような「環境病」だと述べられています。
発達障害の多くは発症のしやすさを持つ遺伝子背景があり、それを環境要因が引き金を引き、発症する。とも述べられています。
つまり、遺伝要因はあくまで種であり、環境要因という名の水や肥料を与えない限り発芽しない。またはそれが芽を出す程度なのか、重度の症状として花を咲かせてしまうのかは環境要因により左右される。と主は読み取りました。
発達障害発症についての詳細のメカニズムについては少々専門的であるため、本書を実際に読んでいただければと思います。※もしメカニズムについての要望があれば、また後日取り上げようと思いますのでコメントください。
それではその引き金となる環境要因について紹介していこうと思います。
環境要因 その1 農薬
2012年、アメリカ小児科学会は子どもへの農薬曝露による発達障害や脳腫瘍のリスクについて228篇もの論文を引用した正式声明を出し、農薬曝露の危険性を警告しています。
有機リン系農薬
有機リン系農薬の曝露は自閉症状、ADHDだけでなく、IQの低下やワーキングメモリー(記憶能力)の低下を示しています。
簡単にこの農薬の脳神経への作用を説明すると、神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する酵素である、コリンエステラーゼというタンパク質の働きを邪魔するものです。
ここで神経伝達について少しお話をします。
まず神経伝達物質について。
人間は脳内で情報を伝えるとき、何千億もの神経から神経へ信号をバトンの様に渡していき、情報を処理します。そのバトンの役割をするのがアセチルコリンだと思ってください。
アセチルコリンというバトンは何気ない日常の中で親とのコミュニケーションをとったり、遊びのなかで身体を使う、外から音が聞こえてくる、情緒が動いた時など様々な刺激が神経に送られた時に放出されるバトンです。
そして神経伝達物質受容体について。
神経にもバトンを受け取る手(受容体)があります。その手は数に限りがあり、手一杯になるとバトン回収係が駆けつけ、バトンを回収(分解)します。そのバトン回収係がコリンエステラーゼです。
話を戻し、これがどう子どもに影響するかというと、子どもの脳は産まれてから6ヶ月の間で約2倍大きくなります。つまりものすごいスピードで神経細胞が増殖しているということです。そのスピードの中でバトンは神経から神経へ次々に渡され、次の神経へ渡していく過程で新しい道を開拓していきます。それが脳の発達です。
脳の発達の初期の部分で農薬によりバトン回収係の働きがジャマされ、バトンの受け手が手一杯となり、これ以上バトンを受け取れない状況で、次にも渡せない状況になったとしたら。
その渋滞ともいえる部分から先では新しい道を開拓することが難しくなります。その影響が自閉やADHDなどの症状として現れるということです。
本来その道がどこにつながる予定だったのかは、様々な要素が複雑に絡み合うため、現在の科学でも特定が難しいとされています。
自閉症スペクトラムの症状が固定されたものではなく、個人差があり多岐に渡るのはこのためだと考えます。
ニコチン、ネオニコチノイド系農薬
ニコチンやネオニコチノイド系農薬(以後ネオニコ農薬)は先ほどの神経伝達の話の中でいう、バトン(アセチルコリン)の偽物として働き、ドーパミンという神経伝達物質を放出させます。
ドーパミンは主に喜びや意欲、快楽を感じる物質であり、人間の行動動機や情緒に対して「ごほうび」として作用します。この人間の情緒の中でご褒美を感じるという一連の流れを「報酬系」と言います。
ドーパミンのご褒美としての機能は何かを達成した時の達成感や人に好かれた時の幸福感として受け取る。また、それらを期待している時に放出されています。
つまり子どもはママパパに褒められたり、笑顔を向けられたりといった中で情緒を発達させていき、ごほうびの喜びを学習していきます。
その経験を繰り返すことで「次も頑張ろう!」「ママに褒められたいな。」「努力するといいことがあるぞ!」という感覚を得ていきます。
少し話しはズレますが、ニコチンと聞いてまず思い浮かべるのはタバコだと思います。タバコにもニコチンが含まれており、タバコからニコチンを摂取するということはドーパミンをいとも簡単に得るということです。
本来頑張ってコツコツ努力した結果や、相手のことを想い、行動し褒められた時に得られる感覚をいとも簡単に得られるわけです。それを続けると少量のドーパミンでは喜びを感じられなく(耐性形成)なり、ごほうびをもっと欲する様になります。これが依存です。
大人のニコチン依存の場合、タバコからのニコチン摂取で解決しようと思えばタバコを増やせばいいわけですが、これが子どもの脳内の神経で起こるとどうなるか。
本来の経験に基づいたご褒美ではなく、意図せずドーパミンを受け取る経験が繰り返されると、脳が錯乱し、報酬系の発育が阻害されます。
その結果報酬を期待して(諦めずに粘り強く)行動できなくなり、より即時的に強い刺激が得られるものを求めるようになるとされています。
つまり、コツコツと勉強や練習をして成果を出すよりも、衝動的・多動的に脳を刺激し、ドーパミンを欲するようになります。
この報酬系の未発達により、ADHDなどの症状に繋がる可能性が高いと考えます。
予防方法
- 無農薬、有機栽培の野菜を選んで食べる。
- 野菜を自家栽培する。
- 野菜はよく洗って食べる。ネオニコ農薬は透過性が高く、洗っても落ちにくいため注意が必要です。
- 農薬の洗い方については、別記事で詳しく触れていこうと思います。
農薬曝露量が多い野菜、果物の例としては、ほうれん草、いちご、トマトなど子どもの口にも入ることが多いものが挙げられます。
環境要因 その2 重金属化合物
水銀化合物
水銀化合物であるメチル水銀は水俣病の原因として多くの方に知られていると思います。
水銀は主に水産物の脂肪分に蓄積され、それを食べることで曝露することがほとんどです。過去には体温計に使用されていることもありましたが、現在は使われなくなっています。
脳には血液脳関門という毒物を脳に送らないようにするシステムがありますが、メチル水銀はその関門を容易にすり抜け、様々な神経症状を引き起こすとされています。
脳神経に悪影響を及ぼすことは分かっていますが、その発生機序はまだわからない部分が多いようです。
鉛化合物
鉛化合物も水銀化合物と同じく、神経毒性が問題となります。
身近なものでは鉛蓄電池、壁やオモチャのペンキ、自動車の排気ガスに含まれています。
長期間の鉛化合物曝露による慢性中毒では不妊などの生殖系の異常、消化器症状などが確認されています。
小児期の鉛曝露の健康被害としては注意持続時間の低下、知能指数が認められています。
予防方法
- 水銀は6カ月ほどでほとんど代謝されるため、妊娠中、妊活中の魚介類の摂取を控えましょう。特にブリやマグロといった比較的大型で脂の多い魚類を避けましょう。
- 鉛化合物は排気ガスに含まれています。また汚染された大気中にはダイオキシン、PM2.5などの有毒物質も含まれるため、大気の綺麗な場所での子育てが理想です。でもいきなりそのためだけに家を引っ越すことは難しいと思うので、オススメとしては空気清浄機を使うことです。空気清浄機を選ぶ時の基準としてはエアフィルターがHEPAフィルター以上の性能があるものをオススメします。
環境要因 その3 てんかん薬
サリドマイド
サリドマイドはユビキチン・リカーゼという脳神経の発達に欠かせない遺伝子の働きを阻害します。ユビキチン・リカーゼは自閉症関連遺伝子にリストアップされている遺伝子でもあり、その関連性は強いと考えられます。
サリドマイドによりユビキチン・リカーゼ遺伝子が胎齢20日~16日という妊娠のごくごく初期の頃に正常な働きが阻害されると、自閉症スペクトラムの典型症状が出現するとされています。
ラットでの実験ではユビキチン・リカーゼ遺伝子だけを遺伝子操作で2つ重複させたマウスは自閉症スペクトラムの典型症状を示したとされています。
バルプロ酸
バルプロ酸も妊娠初期に飲むと子どもに自閉症スペクトラムの特性が生じやすいとされています。
バルプロ酸はヒストンというタンパク質に作用し、脳幹などの神経細胞の発育に影響し様々な症状を発症していると考えられています。
予防方法
- 妊娠、または妊活中にてんかん薬を服用する際には、医師によく相談する。
- てんかん発作のトリガーとなり得る刺激を避ける。
上記2つと違い、母親の体を守るための薬であるため、完全に服薬をやめることは難しいことがあると思います。
なので事情を医師によく相談し、用法容量の検討やなるべく使用しなくても良い環境を整えるなど工夫が必要になると思います。
まとめ
- 発達障害の要因は遺伝要因と環境要因があり、環境要因が引き金となる。
- その環境要因は大別して一部のてんかん薬、農薬、重金属化合物がある。
- 胎児期や小児期の神経細胞へのダメージは広範囲に渡り影響を及ぼす。
- 有毒な神経化学物質により正常な脳の発達を阻害、撹乱され発症することがある。
- 正しい情報を知ることで全てではないが予防が可能。
どれも知っていれば予防が可能であるため、実践する価値はあるのではないでしょうか?
人間はどうしても太ってからダイエット、糖尿病になってから食事制限。のように予防的観点が薄い生き物です。予防した方がはるかに費用対効果は高く、コスパは良いのは多くの方が分かっているのに。
しかし今回だけは我が子の一生を左右しかねない問題であり、「あの時もう少し気をつけていれば良かった。」という言葉ではどうにもなりません。
予防は対症療法と比較して目に見えて実感が薄く、ないがしろにしやすいですが、子どもや家族の将来を大きく左右する可能性があるため、実践してみることをオススメします。
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