自閉症スペクトラムの人への 具体的支援4選

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自閉症スペクトラムのお子さんを持つ親御さんの中には、その特性からお子さんとの接し方に悩まれている方もいるのではないでしょうか?

全ての基礎となる物心がつく前(思春期前)までの具体的な関わり方について紹介していきます。

今回の内容は精神科医師であり、医学博士である本田 秀夫医師の著書である「自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体」という著書の内容を中心に紹介していこうと思います。

本記事を読んで頂くことで、接し方に一貫性が生まれ、お子さんの中で「あの時は良いって言ったのに、この時はダメって言った。」という混乱を招かず、より良い信頼関係を築くことができるでしょう。

どう関わってあげるといいのか?



結論から言います。思春期までの間に育むべき精神的な機能とは、自己肯定感を育むことが重要です。

なぜかと言うと、社会生活を送る上で必須の能力である、ソーシャルスキルと自律スキルの基礎となる部分だからです。

自己肯定感とは・・己肯定感とは自己価値に関する感覚であり、自分が自分についてどう考え、どう感じているかによって決まる感覚です。そのままの自分を認め受け入れ、自分を尊重し、自己価値を感じて自らの全存在を肯定する「自己肯定感」の感覚は、何ができるか、何を持っているか、人と比べて優れているかどうかで自分を評価するのではなく、そのままの自分を認める感覚であり、「自分は大切な存在だ」「自分はかけがえのない存在」だと思える心の状態が土台となります。

一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会

詳しくは下URLをご参照ください。

https://www.self-esteem.or.jp/selfesteem/

思春期前までに十分に自己肯定感の基盤を作ることで、成人してから必要となってくる自律スキルとソーシャルスキルが備わる。

  • 自律スキル・・・自分の得意なこと、苦手なことを理解した上で、それを他人に伝えることができるというスキル。
  • ソーシャルスキル・・・自閉症スペクトラムの人に必要なソーシャルスキルは「ルールを守れること」と「他の人に相談できること」

具体的な支援の原則 4選

ここで紹介する支援方法は自閉症スペクトラムの症状を治すものではなく、社会性(自律スキルとソーシャルスキル)の基礎となる自己肯定感を育むためのものです。また一説である為、合う合わないは個人差がある為ご了承ください。

それでは4つの原則を紹介します。

  1. 保護的な環境を整える
  2. 得意なことを目一杯褒める!
  3. 苦手なことの特訓は極力させない。
  4. 大人に相談して上手くいったという経験を積む

保護的な環境を整える

物心がつくまでは試練を与えてはいけません。親としては「思い通りにならないこともある。我慢を覚えて欲しい。」と願う気持ちは分かりますが、それは十分な自己肯定感を育んでからで大丈夫です。

この時期にはどんな些細なことでも成功を保障し、自信をつけさせてあげましょう。

例)着替えの場面

大人が思っているより、子どもにとって着替えは難しくストレスが大きいです。(左右、上下、裏表などを理解することが難しい。手足を思うように動かせないから。)

なので、「靴下」や「ズボン」の認識ができているお子さんであれば、引き出しから出して準備をするまで。ここまでをお着替えとし、褒めてあげましょう。

子どもは「ぼくはお着替えが得意なんだ!」と得意げになると思います。それも「そうだね!すごい上手だよ!」と共感してあげてみてください。めっちゃ可愛い笑顔になると思いますよ(^ ^)

得意なことを目一杯褒める!

親としては苦手なものであったり、親がして欲しいことをした時に褒めたくなりますが、得意なことを行った時こそ褒めましょう。

どうしても人間には欠点に注目してしまうという性質(ネガティブバイアス)があるため、意識しないとなかなかできません。

しかしこれを意識すると劇的に褒める場面が増えるのでやってみてください。逆にこの観点を持たないとできない事ばかりに着目してしまい、叱る頻度が増えてしまいます。

結果として子どもは次第に自信を失っていきます。当たり前に行っていることこそ着目し、褒めてあげてください。

例)食事場面

子ども:得意げに唐揚げを食べる。

親:当たり前だから何も言わない。

子ども:トマトを食べる。(筆者がトマトが嫌いなだけです。)

親:よく食べれたね。

ではなく!

子ども:得意げに唐揚げを食べる。

親:いつも美味しそうに食べてくれるね。

と褒めてあげましょう(^ ^)

苦手なことの特訓は極力させない。

苦手なことの特訓は二次的な精神疾患の発症リスクが高まります。なので強要は厳禁です。「箸を使って食べて欲しい。」という相談をお母さんからよく受けますが、それはまだお子さんがその意義を感じていないから焦らなくて大丈夫です。

大人も意義を感じないと学ばないものですよね。

中学校、高校の6年間、英語を学習した人も多いと思いますが、おそらく多くの大人が英語を操ることは出来ていないはずです。それは「日本ではあまり英語を話すことがないから。」と考えていた人も少なくないのでは?(筆者もその一人です。笑)

しかし近年の英会話スクールブームを見てみてください。

近年のグローバル化の波が押し寄せてきているのを感じ、あれだけ勉強しなかった英語をお金と時間をはたいてまで習いに行く大人がたくさんいますよね。

それと同じで子ども自身が意義を感じたら勝手に練習するようになるので、気長に待ちましょう。

大人に相談して上手くいったという経験を積む

自閉症スペクトラムの人たちにとって、「相談」は難易度の高いソーシャルスキルの一つです。この時期にその基礎を作りましょう。

特に物心がつく前の時期は泣き叫びながら、なんでも「やって。」と要求してくるため、「自分でできるんだからやりなさい。」と言いたくなりますが、何をやって欲しいのか、何ができないのかを丁寧に確認しましょう。

その時のオススメのステップは

代弁⇨同調⇨援助⇨賞賛です。

例)お菓子の袋を開けて欲しい場面

子ども:(お菓子の袋が開けられない。)泣きながら「やって。」

親:「お菓子の袋が開かないから悲しいんだね。(代弁)」⇨「〇〇ちゃんは袋を開けてお菓子が食べたいんだね。(確認)」

⇨「ここを持ってごらん。手伝いながら開ける。(援助)」⇨「ほら!できたね!〇〇ちゃんすごいね!(賞賛)」

何か要求してきた時には「褒めるチャンス」と思ってください。

筆者が実際に実践してみて気づいたこと

  • 褒めることが増え、子どもだけでなく親の笑顔が増える。
  • 「意外とこんなことできるようになったんだ。」とできるようになったことに気づくようになる。
  • 褒めるタイミングをまだかまだかと待つようになり、ネガティブバイアスが少なくなる。
  • 奥さんに対しても褒めることが増え、夫婦仲が良くなる。

まとめ

以上の4つの支援を原則に関わることで、子どもの中に物事に対する意欲がどんどん高まっていきます。

パパママが学習能力に目が行きがちになっちゃうのは非常に分かります。しかし、社会という大海原で独り立ちしようと思った時にピタゴラスの定理や英語の受動態を使用することは、専門職でない限り0に等しいです。

その子の人生を長い目で見た上で必要な能力を伸ばしてあげることが必要なのだと思います。

それが将来的には自信となり自己肯定感につながり、さらには自律スキルやソーシャルスキルにつながるため、ぜひ実践してみてください。

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